2000億USドル(約16兆円)を超えると言われる世界の医療機器市場。国別でいうと1位はアメリカで、日本は2位となっています。少子化による人口減少はあるものの、市場規模は成長を続けています。最大の要因は高齢化にあり、とりわけ、高齢者に関連する医療機器の分野が伸びていると言えます。
医療機器と一口に言っても、治療分野と診断分野があります。
治療分野においては、高齢者に多い症状・疾患に対する領域が伸びています。具体的には、整形(特に人工関節)、循環器、呼吸器の領域です。診断分野においては、心電計に代表される生体情報モニターや呼吸機能モニター等です。
この日本市場をターゲットとした外資系企業では、日本法人へのサポートも積極的に行われており、新規参入も含め、更なる活性化が予想されています。また、国内メーカーにおいてはアジア圏への進出も目覚ましい状況です。この背景には、急成長している中国市場を視野に入れていることもありますが、それ以上に、「ものづくり大国」である日本の製品への高い信頼性があります。自動車産業や家電産業に加え、医療機器産業が日本経済の一翼を担う将来が近づいてきていると言えるかもしれません。
このような医療機器市場において、国内市場での販売数を更に伸ばすため、各社とも営業職の採用に積極的に取り組んでいることがうかがえ、全国各地にてキャリア採用の案件が多く寄せられています。
業界経験者の即戦力採用はもとより、業界未経験者であっても、法人営業経験者を積極的に採用している傾向があります。
その理由は、病院は各地にありますので、営業マンが現場に密着する必要があるからです。つまり、「営業職の増員が急務」ということです。そのため、直行直帰スタイルで担当地域を小まめにまわるスタイルを採用している企業が増えています。携帯電話だけでなく、ノートパソコンを付与し、営業所に出社しなくても密な情報共有が可能な環境を整えている企業も少なくありません。
転職を希望されている方々の中には、「医療機器業界に興味はあるが、未経験でも大丈夫か?」という疑問をお持ちの方も多くいらっしゃいますが、全く問題ありません。
教育制度が充実していることが医療機器業界の特徴と言えます。製薬業界における「MR」のような認定制度は無いものの、医療従事者(医師、看護師、放射線技師等)が営業対象であるため、自社製品の特性以外に、疾病名やその症状、手術手技、術後ケア等々の教育研修を行います。ですので、業界未経験者が成果を上げやすい業界とも言えます。
私自身も、システム開発会社から医療機器業界の営業職への転職経験がある身です。振り返ってみると、たいへん面白い業界でありました。各領域の専門家である医師と対等に話しをするため、勉強の日々でありました。私立文系出身で理科系科目が大の苦手だった私でしたが、学生時代の勉強とは比較できないほどの面白さがありました。その業界のことを勉強するという点においては、どの業界にもあることで、特別なことではありません。
また、製品の納品や伝票処理には、地元の卸問屋に依頼することになるのですが、卸問屋の営業担当者を「どれだけ味方にできるか」によって、商談の数も変わってきます。つまり、「代理店営業」です。代理店を効果的に活用するためのノウハウも重要になってきます。
そう考えると、医療機器業界も決して特別な業界では無いと言えるでしょう。
どの業界でもそうですが、「この業界経験しかない(長い)から、他業界への転職は難しい」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。
上述の通り、医療機器業界も「医師相手の営業」ということを除けば、他業界の営業と同じです。「医療機器業界において身についたことは何か」という視点で考えることが重要です。例えば、「医師とのネットワーク」もその一つです。医療機器営業時代の先輩に、生命保険業界に転職して実績を上げ、重要ポジションについた方がいらっしゃいます。つまり、「富裕層をターゲットとした製品やサービス」の営業職への転身も一つの選択肢となります。高級外車や注文住宅等もそれにあたります。逆に、外車や注文住宅のセールスから医療機器業界・製薬業界(MR)に転職して成果を上げている方も多いです。これは「富裕層との接し方が身についている」ということが理由です。
ともあれ、「自分が得意なことは何か」、「それをどのように活かすか」、そして「何を実現したいのか」を考えることが「キャリアを考える」ということであり、その手段の一つが「転職」です。
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